2007年12月23日日曜日

ベーゼンドルファー

 世界的な高級ピアノメーカー、オーストリアのベーゼンドルファー社の全株をヤマハ(浜松市)に売却する契約が先月20日結ばれた。 そして日本ベーゼンドルファーは27日自己破産、倒産した。


おそらくラッシュライフが上賀茂神社でランディ・ウェストンのコンサートを企画していなかったら、このニュースも左程気に留める事がなかっただろう。


2001年に初めて上賀茂神社でランディのコンサートを企画した時、ピアノは出来ればベーゼンをと言う本人の希望が添えられた。

日本ベーゼンドルファー大阪ショールームのN 氏にピアノの貸し出し依頼と企画の趣旨等を手紙で伝えた。後日お電話をした所、快くピアノの貸し出しを承諾して下さった。そして何と貸し出し料は無料での提供だと言う。「ランディ・ウェストンはベーゼンの専属ピアニストです。あなた達のコンサートの趣旨が営利目的のコンサートでは無い事も含めてこちらも応援しています。」との事だったのだ。

初めて海外から直接アーティストを呼んでの大きなコンサート企画だっただけに経費面も企画そのものも全てが不安だらけの中、このN氏の言葉には涙が出るほど嬉しかった。


上賀茂神社に運び込まれたピアノは驚く程大きなフルコンサートグランドピアノ、インペリアルMODEL290。これはベーゼンが最も誇るピアノである。標準88鍵の下に更に黒く塗られた鍵盤があり、合計97鍵の鍵盤完全8オクターブを持つピアノなのだ。

ランディの奏でるピアノは左手の低音域を最大限に生かした演奏だ。彼がベーゼンを指定した理由が演奏を聴き始めてすぐに理解できた。大きなランディが大きなフルコンを自由に操る。強烈な演奏は聴いている全ての人々を圧倒した。



昨日、日本ベーゼンのN氏と電話でお話する事ができた。今後はメンテナンス業務を担うため技術者が集結して新たな会社を立ち上げた事、そしてインペリアル290が貸し出し用に保存されている事、N氏は事後処理に追われている事などもお聞きした。そして改めて上賀茂神社のコンサートでお世話になってきた事のお礼を言い受話器を置いた。



ベーゼンドルファーは手作業で作られている為、他のメーカーに比べて極端に生産台数が少ないそうだ。スタンウェイの10分の1、ヤマハの100分の1の台数で、おまけに「弾き手を選ぶ気難しいピアノ」とも言われ、学校やホールで目にする事も少ない。しかし一度弾きこなせば他のピアノでは絶対演奏をしないピアニストもいたほどだとか。ヤマハは今後もオーストリアでのベーゼンの生産を継続する事を条件に買収契約を結んだようだ。このピアノを愛するピアニストとその演奏を楽しみにしている観客がいる限りベーゼンドルファーの生産が継続される事を願うばかりである。







6 件のコメント:

やすこ さんのコメント...

今日は茶木さん、はじめてのコメントです。無事にとどくことを、祈る気持ちです。ザビエル様お守りください。

やすこ さんのコメント...

2回目はどうなりますか、まだ狐につままれています。いつになったら、安らかにお話できるでしょう。此処までどうして来たのでしょう、わたしは。

やすこ さんのコメント...

どんどん、今年がなくなっていきます。どうしょうもなく、わたしのリズムの日々を送っております。コメント、何とかなりましたでしょうか。ほんとかな、自分のやっていることがわからないのですから仕様がありません。
いま、ランディ・ウェストンを聴いています。力になります。力をいただきます。

lushlife さんのコメント...

やすこさん
コメントありがとうございます。ちゃんと入っていますよ!ご安心下さい。
私もよくランディ・ウェストンのCDに救われます。不思議ですね。

匿名 さんのコメント...

ベーゼンドルファーとヤマハの話を聞いて気になっておりました。

良いお話をありがとうございました。
また来させてくださいね。(=^エ^=)

lushlife さんのコメント...

ubon911さん

初コメントありがとうございます!
思いつくままのブログで週1回くらいを目途に書き換えられればと頑張っています。