2011年9月9日金曜日

秋晴れの空

秋晴れのこんな日には決まって広島の西条を懐かしく思い出す。
高校卒業後、二年間だけ東広島の西条にあった広島農業短期大学という学校に行っていた。
広島市内から40分JRに乗り、更に30分程バスに乗り継いだ小高い丘の上にある小さな学校。
卒業後は京都に戻り現在まで実家に住んでいるので、私にとって実家以外の場所で生活したのはあの二年間のみという事になる。そのせいか、あの短大時代の二年間は何か特別な時間であり、空の色、木々の匂い、星の数、水の冷たさ、当たり前の事が何か全て違って思える時間と空間。村上春樹の1984年から1Q84年に迷い込んでしまった様な異次元のパラレルワールド。まあそこまで言えば言いすぎかも知れないが、ふと自分が立ち返りたくなる場所と時間が西条にはある気がする。

先日その大学でお世話になった恩師、早田保義先生の訃報が届いた。57歳という若さだ。
今更ながら先生の研究を調べてみると、植物の香りとその機能性や利用実用性などの研究をされていた様だ。又社会活動ではNPO法人「森のバイオマス研究会」の理事長として資源循環型の地域づくりと森・里山の再生と利用に関する活動に取り組んでおられた様だ。
平成18年からは明治大学農学部の教授として、22年には農場長として活躍されていた。
そんな事も何も知らず、随分音信不通で失礼な事をしてしまっていた。先生の研究は農業からは縁遠い生活をしている私でも興味を持てる内要ではないか。聞いてみたいこと、話しておきたいことが山積する。今更悔やんでも後悔先に立たず。無念でならない。

高速道路から降りていく不思議な螺旋階段なのか?あるいはドラえもんがポケットから取り出す「どこでもドア」なのか?
秋晴れのこんな空の日にはどうか私を早田先生のいるあの西条の小さな学校の研究室に連れて行って下さい。