2009年2月27日金曜日

旦那の不思議

さすが2月。おまけに雨の多い週で店は暇続き。ごそごそ掃除したり、新メニューを考えたり、旦那は珍しく読書をしたり。おいおいそりゃ雨も降るわ。

それでも有難いことにこの所、雑誌や新聞などの取材が多い。
以前はあんなにあったはずのジャズ喫茶が今や絶滅寸前。世の中の不景気のあおりを受けて絶滅するといけないと保護活動に乗り出した・・・のか?しかしせっかくの取材のチャンスを無駄にする訳にはいかない。
雑誌でも新聞でもその限られた数行に店側の思いと記者の思い。そしてその行間までもを読者に読ます事ができれば記事としては成功だろう。単に店の紹介で終わる訳にはいかない。そんな事を色々考え過ぎて言葉にならない私よりむしろ旦那のコメントがキラリと光る時がある。ん~これも年の功だろうか?何だか悔しい。

その他、旦那の不思議な所に「お習字がうまい」という、どうも似つかわしくない特技がある。
しかしその特技を見込まれてこれまでも何人かのお宅の表札や看板を書かせてもらった事もある。
接写に近い抽象写真も撮るが、写真でもお習字でも共通する事だと思うのだが、その構図が決め手。
用紙には見えないセンターラインがあって、上下左右、バランスのよい配置が重要だそうだ。全くの左右対称ならばシンメトリーだが、この場合は広重の版画に代表されるバランス感覚に近いのだと思う。これは旦那の実家が代々続いた日本刺繍を生業とした家の血筋だからかも知れない。

そこで旦那が一言「ジャズも同じバランスなんや。でも何故か日本のミュージシャンはセンターラインからなかなか離れられへん人が多いね。安全な所から離れられないって言うか・・・。演奏でぎりぎりの冒険で落ちる所がどのあたりかを知ればもっと大胆な演奏が出来るようになると思うんやけどな」と。
この話を聞いて、私は何一つ楽器が出来ないのであくまでも想像だが、もしも自分がミュージシャンだったらピッタリセンターライン横付けだろうと思う。予測のつかない未知の世界は恐いものだろうと思うから。
ただ、この旦那と連れ合いになった事が一番の冒険だったのかも。ああ恐ろしい~。

2009年2月8日日曜日

今年も節分

あれあれどうしましょう。時は既に2月、節分も終わり明日はバレンタインデー。2月は逃げる月と言うが、本当に時の流れが早い。

以前パートタイマーで近所のスーパーの惣菜加工部で働いていた事がある。
8時から12時までの4時間、時給820円。
主に寿司と弁当、サラダの加工をするが、時期によってはおはぎを作ったりもする。
しかし家で家族分をチョコット作るのとは訳が違い、その量の多さに最初の頃は驚きの連続だった。
巻き寿司200本、いなり寿司500個、うな重50パックにおはぎ300個作ってください。って・・・鰻まみれのあんこまみれ。もうこうなると食品が食品に思えなくなる。
で、それはいけない。やはり自分達が製品として店頭に並べる以上は責任をもって出さねば・・・と、あれやこれやと理由をつけては試食もよくした。毎日寿司食べ放題。何だかそうでもしないと自分達が気が付けば加工ロボットになってしまいそうで、そうそうチャップリンのモダンタイムスになってしまいそうな、そんな危機感すら感じる職場だった。

昨日久しぶりにその頃の同僚の人と会い、昔話に花が咲いた。いや、私にとっては昔話でも現在もその職場で働く彼女にとっては今現在の話なのだ。
いつ体を壊してもおかしくない大変な職場で繰り広げられるとんでもない加工量とドロドロの人間関係を楽しく可笑しく笑い飛ばす所はまさしくブルースの様。フランスの作家ルナール曰く「ユーモリストとは不機嫌を上機嫌にぶちまける人の事だ」と。このパートのおばちゃん達はまさしく極上のユーモリストだろう。

「血と骨」や「闇の子供たち」の作家・梁石日氏の特集番組がNHKの朝の番組でやっていた。
格差社会がますます巨大化し、底辺に暮らす人々にそのしわ寄せが集中している今、梁石日氏の目は、日本だけでなく世界に広がる深い闇を見つめ語っている。
その中においても不屈のブルース精神を忘れる事無く常に極上のユーモリストでいる事が苦境を乗り切る第一の手段。節分の頃には毎年あの職場で働いていた頃を思い出し今日も笑顔でがんばろうと心に刻む。

2009年1月14日水曜日

年越し消化不良

戴いた年賀状の返事もやれやれどうしたものかと考えあぐねていると1月も半月が過ぎてしまった。
打てば響くような俊敏な反応のできない私はどうも物事を理解し消化するのに時間が要するようだ。

と言う訳で、昨年のクリスマスイブの事になるがエリック・マリアという方のチェロコンサートに行った時の事を今頃。
大分県の中学校の保健室の先生、山田泉さんという方がいた。自身の癌と向き合いながら「いのちの授業」を行った何ともパワフルな養護教論だ。癌を発症するまでも人権学習や性教育、平和学習を行っていた。ハンセン病の方を招いたり、村山元首相を招いたり、永六輔さんなどなど多くの方を招いて授業を行ったそうだ。
そしていよいよ癌が進行して学校を辞めた後に最後の旅行先として訪れたイタリアでチェロリスト、エリック・マリア氏と出会った。エリック氏はベトナム人の戦争孤児。フランス人の両親に育てられ現代音楽の巨星ピエール・ブーレーズが設立した室内オーケストラ「アンサンブル・アンテルコンタンポラン」でトップチェリストとして活躍する傍ら、各分野のトップアーティストと世界各地で競演し高い評価を得ている。
そんな彼が山田泉さんとの出会いから自身の人生を見つめ直す旅が始まったと言う。そんな二人の出会いと人生を追ったドキュメンタリーフイルム「ご縁玉」。
クリスマスイブの夜、「ご縁玉」の上映で初めて山田泉さんを知った。そしてその後のエリック氏のチェロがドスンと心に響いた。このドキュメンタリーフイルムを見て尚の事、心に響いたのだと思う。そしてお会いする事は出来なかったが山田泉さんをエリック氏のご縁玉が届けてくれた。
二人との出会いを運んでくれたU氏もに感謝する。
山田泉さんの本『「いのちの授業」をもう一度』・『いのちの恩返し』は店で仕事の合間には絶対に読めない本。涙と鼻水でぐしょぐしょになって、やばい・・・。

2009年1月1日木曜日

明けましておめでとうございます!

明けましておめでとうございます。今年も宜しくおねがいします。

新年は一日より営業しています。(三が日は夜8時頃まで)
初詣の帰りにでもお立ち寄り下さい。

2008年12月19日金曜日

花一匁

<あの子がほしい、あの子じゃわからん>と歌った子供の遊び歌「花一匁」。
かつて口減らしがおこなわれた貧しい農村から子供を買い求めるとき、「花」(女児)一人につき金一匁が支払われたそうだ。匁(もんめ)は尺貫法の重さの単位で一匁は一貫の1000分の1の3.75gだそうだ。
「花一匁」にはそんな哀しい一説があるのだと読売新聞「編集手帳」より知る。

少し前になるが映画「闇の子供たち」という映画を見た。副題は「値札のついた命」。
タイで行われている、臓器移植を目的とした幼い子供たちの人身売買や幼児売買春を描いた作品。 内容はあくまでフィクションである。そう、フィクションであるのも関わらずその映画の訴える社会性が今もずしりと心に残る。実はこの映画を見てから何度も何度もこのブログに取り上げようとしたのだがその度に削除を繰り返した。うまく文章にならないのだ。
バンコク国際映画祭での上映が中止された事で私を含め、むしろ映画を見た人にフィクションをノンフィクション化させてしまったのではないだろうか?
そして反政府派のボランティア団体による空港占拠とソムチャイ政権崩壊、その後の民主党アピシット新政権の誕生など、映画の背後にあるタイの社会事情がそのまま現実と重なり、益々重く心の中に鉛球の様に重く沈みこむ。

今年の世相を反映した漢字として「変」が選ばれたそうだ。オバマ氏も「Chenge」と叫ぶ。
時代遅れの「匁」と言う漢字も常用漢字表から削除されるそうだ。哀しい現実は遠い昔と呼べる時代へと変わっていけばと思う師走の今日この頃だ。

2008年12月17日水曜日

朝の一時

今年からの習慣で朝は佐藤弘樹さんDJの〆モーニングを聞いている。10月のコンサート案内をして頂いてから、あの渋声にすっかり魅了されてしまったのだ。
慌しく朝食の準備や子供の弁当を作りながら、又店のケーキを焼きながら聞くラジオはキッチンの狭い空間が社会と小さな扉でつながっている気持ちにさせられる。
朝刊の主なニュースを読み上げ佐藤さんの少し惚けたコメントも楽しい。季節に合わせた選曲も悪くない。

さてカリフォルニアからの久々のクリスの来日に始まって、先週は何故か海外から懐かしい人達が続々と戻って来る週だった。アメリカ、イギリス、オーストラリア。
久しぶりとは言ってもお互いそんなに時間の経過を感じない。ラッシュライフは何故か時間が止まってしまっている異空間で非現実的な所があるらしい。

懐かしいと言えば、私が高校生だった頃に時々行った喫茶店「ルオー」のお姉さんも来て下さった。
授業をサボって、或いは放課後ぶらりと行く「ルオー」は高校生にとってはまさしく非現実の非日常、そんな不思議な時間が流れている喫茶店だった。
隠し味に醤油の入ったカレーが絶品だった。
音楽はジャズのレコードが流れていて、何故かローランド・カークの銅像が置いてあった。(ルオーはジャズ喫茶ではありません)
先日来られた時にあの銅像が今もあるのか尋ねた所、「そんなモノがあったかな?」と。そして今は無いしどこにいったのかも分からないとの事。・・少し残念。でもあの頃憧れだったルオーのお姉さんに来て戴いて、今はカウンターの中と外が逆になってしまったが、お姉さんにとってラッシュが非日常の空間に感じてもらえればと願っている。

今年のお正月休みは海外ではなく近場の温泉旅行が人気らしい。佐藤弘樹さん曰く「お金が無ければ話をするだけでも十分楽しめる」らしい。確かに同感。
ジャズのレコードを聴きながらコーヒーを飲んで400円で海外旅行にも勝る非日常とは随分お徳では?

2008年12月14日日曜日