約20年前に一人のイギリス人女性が店にふらりと立ち寄って下さった。ジャズ好きの彼女が看板に目を留めてくれての来店だった。彼女は旦那のかけるレコードを存分に楽しみ、帰りがけに「どこか他にもジャズが楽しめる良い店はないか?」と尋ねた。旦那は「ここが一番に決まってる」と英語で言ったのか?日本語で言ったのか?は分からないがとにかくそう言い、彼女はそれが理解できたのかどうかもコレマタ分からないまま帰って行った。それから一月経ったある日彼女は又店に現れ「やっぱりこの店が一番だ」とおそらく英語でだと思うが言って下さった。以来、彼女との付き合いが始まる。
私に子どもができるまでは店が終わってからよく一緒に銭湯に行ったりご飯を食べに行ったりもした。
日本の文化や建築にも興味を持ち、日本各地に積極的に旅行にも行っていたようだ。それでも時折ホームシックからか当時は涙を流して悲しむ顔も何度か見た。
イギリスのBBC放送局に勤めていた事もあり多くの有名なジャズミュージシャン(ガレスピーやマリガン等等)の友人も多く、2001年彼女の紹介で初めて京都上賀茂神社のRandy Westonのコンサートが実現する。
2003年のAbdullah Ibrahimも彼女の紹介からだ。以来RandyもAbdullahも各3回のコンサートを上賀茂神社で行ってきた。これも元はといえば彼女あっての実現なのだ。
20年間住み慣れた借家が老朽化の為に遂に取り壊すことになった事を機会に、昨年の6月に京都を引き払いフランスに行く事になった。以前住んでいたイギリスの家は娘夫婦に譲り、新たに買った南フランスの家にだ。写真で見る限りプールもあるという広大な土地とまるで御伽噺に出てきそうな素敵な家だ。
先日フランス旅行に行くというY君が彼女を訪ねた。土産にラッシュライフのコーヒー豆を持たせると、彼女からお礼のメールが送られて来た。ラッシュライフのコーヒーが懐かしく嬉しいお土産だと。20年前にイギリスへのホームシックで泣いていた彼女を急に思い出す。今度は京都へのホームシックで泣いてはいないだろうかと。
今年の10月、4回目のRandyのコンサートがある。その時には南フランスから彼女(ジル・メラー)も駆けつけてくれる予定だ。
2 件のコメント:
reading this makes me want to both 1) go the south of france and 2) run to lush life for some coffee... なつかしすぎ。。。
びる~!あなたも懐かしい!
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