村上春樹の新刊1Q84を読んだ。発売前から予約が殺到で増刷されたと言う話題の新作をこんなに早くに読めるのも購入されたK氏にお借りする事ができたからだ。K氏は某市立図書館に勤務されている常連客の一人で、店内でタマタマ話題に上った事でも次に来店時にはそれに纏わる本を数冊小脇に抱えて来て下さる。滅多に本を読む事のない旦那も彼が持参した本は興味のある事の本なので熱心に目を通す。実に有難い限りだ。
今回1Q84がこれ程までに話題になったのには村上春樹氏の2009年のエルサレム賞の受賞時のスピーチにも人々の注目と評価があったからではないかとも言われた。
「高くて固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」と、イスラエル軍によって1000人以上のガザ市民が命を落としたことをイスラエルのペレス大統領の面前で批判した。さらに「私たちはみな国籍や人種・宗教を超えてまず人間であり、『システム』という名の壁に直面する壊れやすい卵なのです」と語った。
「システムという名の壁に直面する壊れやすい卵」。
1Q84で取り上げられたのは戦争問題ではなくオウム真理教を思わす宗教団体的な「システム」とその「高くて固い壁」からなかなか抜けられない信者を加害者と被害者の両側面から描き、児童性虐待やDVといった社会問題も加えている。しかし内要が重くなりすぎない様に「空気さなぎ」や「リトルピープル」や「二つの月」をメルヘン調にパラレルワールドとして書き上げてある。
そして読者に問題提起をしたまま突如終わるあの終わり方は余計に1Q84に心奪われると言うか、「え?それでどうした?」ともう一度考えさせられるから、うーんさすがです。って感じ。
今週は梅雨らしく雨の日が続くそうで、こんな時にはぽけ~っとラッシュで窓の外の景色でも眺めながら考え事も乙なモンです。
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